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翻訳トリビア大事典

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なんで靴下を手袋と翻訳するの?
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靴下を手袋と訳す

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太宰治著『斜陽』の中で、往診医がはいていた

☆白足袋

は、このように英訳されました。

★white gloves

(白い手袋)

日本文学を英語圏に数多く紹介したドナルド・キーン氏の翻訳です。

多くの誤訳指摘派は、弘法も筆の誤りと言わんばかりの勢い。

「白足袋」=「ホワイト・ソックス(white socks)」じゃないか、と。

でも、キーンさんは日本人より日本に詳しいのです(笑)。

「靴下」を「手袋」と訳すには、それなりのワケがあるはずです!

戦後の斜陽族を描いたこの作品。

白足袋をはいた往診医の姿からは、和装の正装がイメージされます。

一方、英米人にとっての白い靴下はただの普段着なのです。

あらたまった雰囲気を伝えようと、白手袋を選ぶことで、洋装での正装をイメージさせました。

このように文化的に意訳すると、英語の読み手への配慮が可能なのです。

これを名人訳だとする人、過度な意訳だとする人、「白足袋」=「ホワイト・ジャパニーズ・ソックス(white Japanese socks)」ぐらいがちょうどいいと思う人、いろいろです。

「白い足袋」を「白い手袋」と訳すのは、誤訳と意訳の間でバランスをとりながら平均台の上を歩くようなことですね。

「言語の翻訳」で伝わらないと判断した翻訳者は、キーン氏のように「文化を翻訳」するという勇断を思い出すべきかもしれません。


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